活動報告(2026-07-24)
「高原の外来生物調査~アメリカザリガニが仁賀保高原で増殖中~」開催
2026年7月24日(金)
アメリカザリガニは当初ウシガエルの餌として利用する目的で神奈川県大船町(現、鎌倉市大船)に輸入されました。1927年に米国ニューオリンズ市より送られた100匹のうち、その多くは輸送の途中で死亡したとされ、実際に国内へ輸入されたのは27匹(20匹との説もある)だったと言われています。それが逃げ出し、100年の時を経て現在も全国に拡散しています。
そして2023年、環境省により「条件付特定外来生物」に指定されました。日本全国に広く定着し、水生植物を消失させたり水生昆虫の局所的な絶滅を引き起こすなど、生態系等へ大きな被害を与えています。また、ザリガニペストや白斑病などを保菌し、ニホンザリガニを含む在来甲殻類に大きな影響を与える可能性があります。
現状、(一社)鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 研究員 長船 裕紀氏の調査により、鳥海高原での確認は一部のため池にとどまっています。今回は、生息が確認されている仁賀保高原 新田堤を調査しました。

まずは仁賀保高原キャンプ場入口付近の新田堤北側を調査。新田堤では浮島が発達しており、岸の近くにもいくつか見られます。浮島の下は水生生物たちの棲み処となっており、本来、多様な生き物が見られる場所です。網を入れてほんの数分でアメリカザリガニが見つかりました。その後、小型のゲンゴロウや貴重なアメンボなどが見つかりますが、長船先生曰く、本来の多様性には程遠いとのことです。
生き物が産卵したり、隠れたりする水草が圧倒的に少なく、これはアメリカザリガニが繁殖している証拠でもあります。
調査ポイントを変えるため堤の南側に移動します。
かつてはキャンパーや釣り人で賑わった仁賀保高原キャンプ場と新田堤も、キャンプ場が閉鎖されて以降はめっきり訪れる人も少なくなりました。
南側の水草が茂った入江にポイントを定め、再び調査を開始。
これだけ水草があれば大型のゲンゴロウの生息も期待されましたが、思いの外、水生昆虫は少なく、やはりアメリカザリガニが見つかりました。

時間の都合で今回は2箇所の調査となりましたが、確実にアメリカザリガニがこの堤を侵食していることがわかりました。
仁賀保高原を含む鳥海高原エリアにはたくさんのため池や、貴重な水生生物や植物が生息する湿原があります。中でも鳥海山・飛島ジオパークの地質サイトにもなっている「冬師湿原」は、新田堤から直線距離で2kmほどです。
外来生物の拡散を防ぐためにも、現状把握とタイムリーな対策が必要となります。
今回、そのための施策の一つとして、秋田県立大学の学生さんが「秋田の生きものマップ『ザリダス』」を制作しました。ザリガニやウシガエルを見つけたら、写真や鳴き声を送るとマップに登録されます。

ウシガエルは現在、鳥海山麓の秋田側では確認されていませんが、遊佐町では生息が確認され、その旺盛な食欲による環境破壊が問題になっています。
アメリカザリガニについては既に秋田でも平地の湖沼や田んぼの用水路では当たり前のように生息しています。しかし、高原エリアではまさに水際でくいとどまっているという状況のようです。
近年、鳥海山麓ではサル・イノシシ・ニホンジカなどが目撃され、あらゆる生き物や植物が生きるために生息するエリアを拡げ、在来種を追いやりつつあります。
まずは現状を知ること。そして自分事として関心を持つこと。そのような意識が地元の人々に拡がることで、貴重な鳥海山麓の本来の生物と植物の多様性を守ることに繋がっていきます。
当会では、今後もこの問題についてフォローし、取り組んでいきます。





















